アメリカにおける医療通訳の倫理規定

下記の記事は、アメリカの”National Code of Ethics for Interpreters in Health Care”の翻訳です。(連利博氏監修の「医療通訳入門」から引用)

これを読んでみて、納得のいかない部分がいくつかあります。

まずプロ意識です。日本での医療通訳者はボランティアがほとんどですから、守秘義務の限度がどこまであるのか区別ができません。

プロの医師や弁護士が守るべき守秘義務をイメージするのが困難です。
徹底した、プロとしての訓練を受けて、理解できるものと思います。
また、下記の3、4を徹底するのも難しいかもしれません。ボランティアという意識では、真の医療通訳者になるのは難しいとも感じます。
 
下記の倫理規定は、先進国アメリカで確立されたものであり、日本でモノマネでやるのは、あぶなかしい気もします。
私は、医療通訳者の研修を通して、登録しない場合もあり得ると思います。
日本式ボランティアの医療通訳に疑問を感じているからです。

 

1. 医療通訳者は、通訳業務中に知りえた情報は、いかなる理由があろうと医療チーム以外には漏らさないこと。

2. 医療通訳者は、発せられた言葉の意味することを忠実に、また正確に通訳する必要がある。その際には異なる文化が持つ意味も考慮すること。

3. 医療通訳者は中立を保ち、患者に対してカウンセリングやアドバイスはしてはならない。また個人的偏見や心情を持ってはならない。

4. 医療通訳者は通訳の専門領域から逸脱することなく、個人的な関わりを患者を持ってはならない。

5. 医療通訳者は常にプロとしての仕事に従事するに当たり、知識の向上に努める必要がある。

6. 医療通訳者は全ての関係者に対して尊敬の念を持って接すること。

7. もし、患者の健康状態、尊厳が冒されている場合、医療通訳者は患者の擁護者としての役割を果たすことができる。擁護するということは、コミュニケーション機能である通訳の領域を超えるものであるが、医療通訳者は患者が健康になることを最終目的として通訳をするものであるがゆえに許される。しかし、もちろん、患者に対する擁護の程度は状況の慎重な考慮および分析の結果であり、それ以外の問題解決が存在しない場合のみとする。

8. 医療通訳者は各自の知識および通訳技術を向上することに常に力を注ぐべきである。

9. 医療通訳者は、いつもの時もプロの通訳に徹するべきであり、職業倫理を考慮すべきである。